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月刊誌〈ひととき〉5月号の挿絵。

『ひととき5月号』連載中の西山克先生の「中世不思議ばなし」の挿絵です。

歴史資料から読み解く西山先生の不思議話は興味深いものです。
今号は【龍華樹 56億7千万年の愉楽】

〜夏芙蓉の白い花が咲き乱れると、その甘い香気に魅き寄せられるように金色の鳥たちが群れつどう〜から始まる今回の西山先生。
それは、20年前のお父上のご葬儀の際、もう二度と会う事ができないと感じた時のこと。夏芙蓉を感じ、先生ご自身の中に一本の樹がたちあがり、それが金色の鳥達を宿らせているかのように見えたそうです。樹の名前は“龍華樹”。また、弥勒菩薩とは別名“未来仏”。56億7千万年後に釈迦に次いで仏陀になる事を運命付けられています。弥勒は龍華樹のもとで悟りを開き、三度の法会を開くきます。これを「龍華三会」と言います。
昔は、“お経”は自分の死後を守るためにも重要だったと言うことが、今回の章からわかります。
6万部の法華経を読誦したかったけど、半分誦えた所で死んでしまった僧は、骸骨になっても苔が生えても最後まで唱え続けて、弥勒菩薩の住居に行きたかったとか。
藤原道長は、自ら写したお経15巻を銅箱に収めて地中に埋め(1007年)その上に金属の灯籠を立て56億7千万年間火を灯し続けるべくものとしてあったとか。ただし、道長自身は、臨終後は極楽界から法会の場に詣でたい、と書いてあるそうです。

私は、父を亡くした時、悲しくて悲しくて、お墓に入りたいほどでした。慰めは何も効かず、”時薬”に頼るしかなく、ひたすら単純な事に集中するより他ありませんでした。その年は、個展が3つ、グループ展もいくつかあったので、絵を描く事でやり過ごせましたが、絵がなかったら“お経”を書きたいと思っていました。“お経”の中に父がいると思えたからです。今から17年前の事です。  北村さゆり拝

〈ひととき〉は、東海道新幹線のグリーン車に備え付けの月刊誌です。
お持ち帰り、オーケーだそうです。(^^)
56億7千万年の愉楽

─ 2016年4月22日(金)