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「平治物語絵巻」模倣絵で鎌倉時代の絵師から学ぶ。

「鎌倉時代の絵師からの学びの旅」

昨年8月から、楠木正成の長男、正行(まさつら)の物語「人よ、花よ、」(今村翔吾作 朝日新聞朝刊連載小説)の挿画を描いています。南北朝時代。原稿を読んで1話毎に絵を描きます。

いかに歴史音痴であろうと有職故実の知識がないと、イメージすらできません。身分によって違う被り物や衣装。寝殿造の敷地を駆け回る曲者たちを主人公は目で追う。はて、どう見えるのか?など、模型を作りたいくらいです。ひょっとしたら作者にすら見取り図はないとしても、文章を画にするのがこの仕事です。
幼い頃からチャンバラごっこより、着せ替え遊びやお絵描きが好きだった私には、甲冑や戦には馴染みがありません。ビジュアルの資料として博物館では武具を、中世の歴史ドラマでは場面によって衣装が替わるのを観察したり、幕末~明治に流行った錦絵や、歴史画の小堀鞆音、松岡映丘の画集を参考にしています。加えて、中世に描かれた絵巻物でイメージを膨らませることが多いです。

模倣した「平治物語絵巻」は、平治の乱(1159年)を取材し制作されたのは13世紀後半と言われています。正行は1343年(享年23歳)に亡くなります。100年の時間差はあるけれど、火縄銃の出現はもっとあとなので、さほど違わないと信じました。

ほぼ実物大で模倣。挿画は洋紙に描く水彩画ですが、模倣絵は伝統的な日本画材を使用しています。当時最高位の絵師といわれる師匠の利き手は右とわかります。人の表情が豊かなのが魅力です。立烏帽子から透けてみえる髷、男性の襟足、髭の生え方、顔の個性は現代と違いはないようです。難しかったのは、筆で直線を引くことでした。連載の始まりと同時に描けたら理想的でしたが、諸々の事情で叶いませんでした。しかし、この展覧会のテーマ「旅」に例えて模倣を試る機会となり、シルクランド画廊には感謝しております。

連載はまだ続きます。模倣前模倣後(影響してます  ^ ^; )・・・この変化にもお付き合いいただけたら幸いです。
原画はカラー。朝日新聞デジタルなら全部カラーでみられます。  

サムネールをタップすると『平治物語絵巻 六波羅行幸巻』の原画と、制作から完成の模倣画の部分が見られます。

─ 2023年9月1日(金)