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西山克筆 “中世不思議ばなし” ~ 月刊誌〈ひととき〉の挿絵。

〈ひととき〉(ウェッジ発行)2015年11月号、西山克先生の『中世不思議ばなし22』 の挿絵。

歴史資料から読み解く西山先生の不思議話の解説は興味深いものです。
今号は【鉄輪の恋〜鬼神化のアイテム】

『鉄輪』という能がある。見たことあるのでは?その源は「丑の時参り」だそうです。裏切った男への怨みを胸に、捨てられた女が京都の貴船へ参ろうとするというものです。
謡曲では〈身には赤き衣を裁ち着、顔には丹を塗り、髪には鉄輪をいただき、三つの足に火を灯し、怒る心を持つならば・・・〉で始まるのだそうです。
鉄輪とは、五徳のことらしいが、なぜ五徳を髪に逆さにして被るのか?というのが今回の西山先生。
いくつかの文献や絵巻から、五徳や角盥が面白く扱われていること、遠く中国でも五徳によく似た鼎(「かなえ」と読む。鉄輪は「かなわ」。一文字違いが面白い)があり、五徳付きの鍋みたいなもの。煮炊きに使う生活必需品。祭祀用の礼器としても王権のレガリアとされる事もあったそうです。
挿絵の中で点在する光は蛍火。
西山先生は最後に和泉式部の唄でまとめています。「物おもへば沢の蛍も我が身よりあくがれいづる魂かとぞみる」
貴船川の夏の蛍と、和泉式部の叶わぬ恋の象徴を挿絵にしてみました。蛍火が少ないと絵として面白くないので、沢山描いたら、蛍火にみえないような。。。。(..;)

〈ひととき〉は、東海道新幹線のグリーン車に備え付けの月刊誌です。
お持ち帰り、オーケーだそうです。(^^)

─ 2015年10月20日(火)