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西山克筆 “中世不思議ばなし” ~ 月刊誌〈ひととき〉の挿絵。

〈ひととき〉(ウェッジ発行)2016年3月号、西山克先生の『中世不思議ばなし26』 の挿絵。

歴史資料から読み解く西山先生の不思議話は興味深いものです。
今号は【灰を撒く人 ー 伊勢御師の呪い】

西山先生の目に止まった「来田文書(きたもんじょ)」にある1655年に送られた手紙から始まる先生の読み解きです。
※来田文書とは、伊勢神宮外宮の御師来田監物大夫家伝来の文書群のこと。
送った人は今井長二郎24歳。書状によると、彼のお祖父様の時代に廻国の途中、その地を歩いていた御師が、地元の農民達に妨げられたので、怒って“神灰”を撒いたそうです。その後、今井家は、まるで呪いにでもかかったように危機が訪れるというのです。お祖父様は今井定清。神灰事件のころは南北戦争時代であり、箕浦城浅井氏の家臣。定清は1560年に味方の兵士の誤認によって殺されたそうです。父である秀形は、浅井氏滅亡と共に羽柴秀吉に帰属するも1583年に伊勢峰城の攻防戦で戦死したそうです。そして当の本人が、いざ「惣領の家の跡目」を継ぐことになると、継承できる土地も屋敷もなく、「米一粒」も手に入れることがない。。。と。で、その呪いの除去が書状の理由だというのです。
呪いを溶くには、やはり伊勢御師の“神灰”による「申返しの御祈念」なのだそうです。
※“神灰”とは、外宮忌火屋殿の竈の灰。つまり、神々の食事をつくる厨房の灰。
それにしても、私なぞには到底読めない古文書から、過去の100年間程の出来事を読み解くなんて、本当にすごいですよね。

〈ひととき〉は、東海道新幹線のグリーン車に備え付けの月刊誌です。
お持ち帰り、オーケーだそうです。(^^)
灰を撒く人・伊勢

─ 2016年2月23日(火)