Information

片山洋一著『大坂誕生』単行本カバー

片山洋一著『大坂誕生』(朝日新聞出版 3月30日発行)。
表紙カバー描き下ろし。
デザインは、鈴木正道さん

第6回朝日時代小説大賞優秀作。
〜「大坂再興の大任、御身に任せる!」大御所家康から直々に大命を下された松平忠明。豊臣滅亡後の荒廃した彼の地を、反徳川包囲網の中、知略と胆力で乗り越えて次々と大胆な計略を練っていく。〜(本書帯より)

 


2004年の
『火天の城』で安土城を描いていますが、私にとって建物はとても難しいのです。パースが狂うと気持ちが悪いんです。ディフォルメして描くほど絵描きとしての幅がありません。つまり懲りているので、城を描く予定はありませんでした。
ゲラを読んだ印象は、表4(裏表紙)のように、豊臣側だった民衆が気持ち良く働く姿でした。が、デザイナーの鈴木さんは工事中の城を俯瞰図で見下ろす忠明を要求。・・・・私の案は叶いません。で、苦手な城を描いた次第で・・・。当時の城と工法の資料の読み込みに丸1日。建物の形を鉛筆で描くだけで丸々4日、ご要望の俯瞰する土木工事現場の鉛筆描きに丸2日。その後の彩色には4日間。他に仕事が詰まっていて展覧会も近づいている・・・嘆く私をよそに〆切時間は迫り来る・・・。
今日、自宅に見本が届き、「大坂誕生」のロゴが階段式になっているのを初めて見ました。工事現場の足場のように配置したんですね。扉がとっても可愛いんです。デザイナーの鈴木さんにもご苦労おかけいたしました。ありがとうございました。

小説は文字でできていますからカバーなんてオマケにすぎません。けど、カバー絵を描いている人の呟きを頭の隅にちょっぴり置いて頂けると嬉しいです。北村さゆり拝

※サムネールをクリックすると画像が大きくなります。
        

─ 2015年3月9日(月)