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月刊誌〈ひととき〉8月号の挿絵。

『ひととき8月号』(ウェッジ発行)。連載中の西山克先生の「中世不思議ばなし31」の挿絵です。

歴史資料から読み解く西山先生の不思議話は興味深いものです。
今号は【  誰が食べるのか 動物占いと施食 】

興福寺大乗院の僧経覚の日記『経覚私要鈔(きょうがくしようしょう)』に箇条書きにしたためてあった奇怪な出来事について、西山先生は読み解いていらっしゃいます。
神のみさき使者である狐が神楽を踊ったが、御供(ごく)=神への供物 には手をつけなかった、と。この御供の成り行きを動物占いとし、例えば神供(じんく)を狐が食べれば吉兆、食べなければ凶兆と占ったとか。
そこで先生は、「多賀社参詣曼荼羅」を思い出す。奥の方に小さく先食台(せじきだい)が描かれているが、絵図では烏が狙っている。ここでも占い扱いなのか。そして、先生は先食台の読みから、深く洞察されている。それは、「多賀大社儀軌」には「せん食」とあり、センジキダイと読んだのではないか、と。漢字を当てれば施食台。「多賀社参詣曼荼羅」の先食台に関わるのは、神主ではなく僧侶。となると神の使者ではなく死者、いわば餓鬼や鬼神達の供物だったはず。他に、石造の生飯台(さばだい)の例を語り、それは餓鬼や鬼神に一飯を施すのが目的だとか。
室外の台座の上の供物目当てに動物が来るので、動物占いの色彩が濃くなった背景に、烏を死霊と見る信仰があるだろう。神供と動物占いの系譜と生飯台の系譜がどうしたもんか融合してしまったところに多賀大社の先食台があったとみれば説明がつくだろうかなぁ、、、と先生は書いておられます。   北村さゆり拝

もっと詳しく読みたい人は、東海道新幹線グリーン車に『ひととき』は備えてあります。
お持ち帰りokだそうです。(^^)

生飯台のある風景2

─ 2016年7月21日(木)