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月刊誌〈ひととき〉6月号の挿絵。

『ひととき6月号』(ウェッジ発行)。連載中の西山克先生の「中世不思議ばなし29」の挿絵です。

歴史資料から読み解く西山先生の不思議話は興味深いものです。
今号は【伝源頼朝像  兄弟のはざま】

京都高雄山神護寺に伝来の“伝源頼朝”、“伝平重盛”、“伝藤原光能”の国宝の三像の絵画。ところが、1995年に米倉迪夫氏の『源頼朝像 沈黙の肖像画』の出版によって、これらの肖像画は別人であるという仮設がでてきました。当然、美術史学会の反論が相次いだそうですが、その米倉氏の説を補強し、さらに壮大な構想を語る論者が現れたそうで、黒田日出男氏がその人なのです。西山先生は、このお二方に従い、一対として描かれたであろうこの伝頼朝・平重盛を、足利尊氏・足利直義兄弟に変更すべきだと思うと書かれていらっしゃいます。これには訳があります。米倉説の論拠の一つに、1345年4月23日付けの「足利直義願文」によると、願文に添えて2種類のものを神護寺に納めたそうで、一つは権者(※仏などが衆生を救うために仮の姿で現れたもの)直筆の阿含経内の1軸。もう一つが「征夷将軍」と「予」、つまり彼ら兄弟の一対の肖像画を奉納したと書かれているのです。
西山先生は、この向き合っている二人の肖像画の間に空白がある事をさらに推察されていらっしゃいます。
兄弟、遥か龍華三会にお互い立ち合おうではないかと。そこには未来仏としての弥勒が降臨されるはずだから。。。と。龍華三会については、前号(5月号)にも出てきましたね。弥勒菩薩さんは、56億7千万年後にこの世に降臨される未来仏だそうです。
義直は、尊氏と室町幕府を開き実権を握ったものの、兄と不仲になり、鎌倉で死去しています。そうなると、兄を思う弟の気持ちとしても繋がるようにも思えませんか?
『源頼朝像 沈黙の肖像画』は読んだ事はありませんが、読みたくなりました。   北村さゆり拝

もっと詳しく読みたい方は東海道新幹線グリーン車に『ひととき』は備えてあります。
お持ち帰りokだそうです。(^^)
肖像画の騙り-1

 

─ 2016年5月20日(金)