『三鬼』宮部みゆき著(日経新聞出版2016年12月10日発売)
装丁デザイン;芦澤泰偉 & 五十嵐徹
毛筆タイトル;北村宗介
装 画・挿 絵;北村さゆり
2015年6月1日〜2016年6月30日まで日経新聞の朝刊で連載された「迷いの旅籠」が『三鬼』(連載中は第三話)となって単行本になりました。カバー絵と、帯の清左衛門とおちかを描き下ろしました。
帯の二人は、連載時の延長なので、三島屋の黒白の間でのツーショット。
カバー絵の鬼は、装丁家の芦澤さんと編集者の苅山泰幸さんと三人で話合いました。「柴田是真のような印象の妖怪でいこうよ」と芦澤さんの提案。苅山さんは「山陰の雪降る中、宙を舞う鬼は、イメージに合います」と。連載中から感じていた私なりの肌合いとを混ぜ合わせ、「伝説となった“森の鬼”の噂を聞いた絵師が描いた、という設定でいきましょう」ということに。当初、物語りに登場する鬼の風貌を忠実に描こうとしたものの、むしろ“霊気”、“妖気”漂う姿の方が読者の想像を後押しするように思い、北村流 “森の鬼” = “第三の鬼” として描きました。
そして連載時に384点の挿絵を描いた中から27点が本に載っています。そのほんの一部をこちらにupします。
カバー原画はこちら →★
・・・・・・・帯より・・・・・・・・
鬼は、人から真実を引き出す。森は秘事を抱いている。そこには罪があるから。人は罪をおかすものだから。悲しい語りの後に、きらりと光るものが……
江戸は神田で評判の怪談語り<変わり百物語>
不思議な話に心がふるえ、身が浄められる。
<目次>
第一話 迷いの旅籠・第二話 食客ひだる神・第三話 三鬼・第四話 おくらさま
江戸の洒落者たちに人気の袋物屋、神田の三島屋は“お嬢さん”のおちかが一度に一人の語り手を招き入れての変わり百物語も評判だ。訪れる客は、村でただ一人お化けを見たという百姓の娘に、夏場はそっくり休業する絶品の弁当屋、山陰の小藩の元江戸家老、心の時を十四歳で止めた老婆。亡者、憑き神、家の守り神、とあの世やあやかしの者を通して、せつない話、こわい話、悲しい話を語り出す。「もう、胸を塞ぐものはない」それぞれの身の処し方に感じ入る、聞き手のおちかの身にもやがて、心ゆれる出来事が……。
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